雑談ブログ

豚骨ラーメン

極上のカレーライス

某料理店評価サイトで、カレーライス専門店「印度屋」のコメントを見た。いかにも、カレーライス大国日本だと、そう思える様な熱意溢れる内容が多く、楽しく拝見させていただいた。

そこに記載されていた感想の一つに「印度屋のルーはスパイシーさが少し足りない」、そう書かれていたのだが、言われてみれば確かにそうだ。
しかし私個人としては、印度屋さんのカレーほど口に合うカレーはないと、そう断言できる。

f:id:eyezonly:20151219215548j:plain

印度屋のカレーライスを初めて口にした時、私はあまりの美味さに、脳内に有するカレーというカレー、カレーのイメージその全てを「印度屋」という単語に変換せざるを得ない、そう思える程の強い衝撃を受けてしまった。リフレッシュとはまさにこの事を指すのではないだろうか。

「これがカレーライスという食べ物か!!美味い!美味い!はぁぁ美味い!!!」

脳内で、そう連呼しながら一心不乱にカレーライスをかき込んだのは、幼少の頃以来だ。

という事で、初めて印度屋に訪れて以来「あれ、今日カレー曜日やん?」、という気分になれば足が自然と印度屋へと向かう、そんな体になってしまった。

印度屋のカレーライスを一瞬でも思い出すと、口の中は瞬く間に涎よだれの大洪水。集中力は、その全てがカレーライスの脳内再生へと費やされ、油断すれば呼吸すらままならぬ程の重篤な状態に陥る。

こうなると、仕事をするなど以ての外で、無理をして仕事を続けようものなら、下手をすれば死に至る大変に恐ろしい状態なのである。

「喰いたいよぉ、ああ喰いたい、印度屋さんのカレーライス…最後に一口…うぅ」

これではもはや、印度熱ならぬ「印度屋熱」と言っても過言ではなく、ワクチンといえば印度屋のカレーライスで他に治療法はない。これが関西では常識となりつつある、という話を幼い頃に祖母から聞いた記憶がある。

私は、週末になると印度屋へと足を運ぶ。たどり着いた頃には、いつも全身血まみれ傷だらけ。死ぬ思いで印度屋の門をくぐり、夢にまで見たカレーライスを存分に賞味する。するとどうだ、先ほどまでのカレー熱が嘘のように消えてなくなり傷は癒え、私は晴れて社会復帰できるのだ。おめでとう、ありがとう。

印度屋のルーは、辛さを四段階で調整可能だ。ノーマル、スペシャル、ダイナマイト、エキストラダイナマイトとあるが、ノーマルからして結構辛い。
私は全ての辛さを経験済みだが、どの辛さも大変風味豊かで、ただ辛いだけではなく最後の一口までおいしくいただける絶妙な仕上がりとなっている。来店する機会がある方には、是非とも全ての辛さを体験していただきたい。

また、ノーマルのルーとは別に、セイロン風ジンジャーカレーソースなる物も用意されており、こちらは辛さが抑えめ、甘味溢れるまろやかな口当たりが大変美味である。
このジンジャーカレーソースは、人生で一度は体験しておかなければ印度屋の門を潜る事は二度と許されない、という逸話すら存在する程の絶品ソースである。

しかし、そうはいったものの、辛いもの好きの私としてはジンジャーカレーソースはあくまでも前座であり、パンチの効いた通常のルー、もしくはダイナマイトをメインとしていただく、というのが生活の一部となってしまっている。

今の私にとってカレーライスといえば「印度屋」であり、それ以外の物は「カレー風ライス」という立ち位置で認識させていただいている。

印度屋の品で特にお奨め、という訳でもないが、私は基本的にビーフカレー一択。
あらかじめ言っておくが、ビーフカレーが一番安いから、というセコい理由ではない。人生、潔さが常に勝利を生む。ただそれだけの話だ。

印度屋さんのビーフカレーは、全国チェーン展開している他店のものとは一味も二味も違う。ルー、ライスを口に含み、そしてビーフカレーたる所以、やわらかビーフを噛み締めた時の、まるで雲を噛んでいるかの様な軽い歯ごたえ。肉を噛めば噛むほど、ひょっとして、私はこのまま空に飛んで行ってしまうのではないかと錯覚してしまう程の柔らかさは、正に肉心地、いや、夢心地。

肉の食感だけではない。香りがまたすごいのだ。印度屋さんのビーフは非常に薄くスライスされており、その切り口は、断面積に比例して肉の香りを口内で程よく拡散させる事に貢献している。
ビーフとしての主体性を保持しつつ、白米の存在を無駄にしない咀嚼強度のバランス、これを程よく保つという事は、逆を言えば、ビーフ感を捨てるという事でもある。

肉を切らせて骨を断つ、という言葉があるが、印度屋のビーフカレーはある意味それに近い所があるのではないだろうかと私は考えている。肉だけではなく、骨格たるカレーライス喰わずして何がビーフカレーだと。肉、ビーフのみで、ビーフカレーの全てを語る事など言語道断、破廉恥の極みといってもまだ足りないくらいの一大事なのである。

ルー、ビーフ、米、これらが口の中で渾然一体となって初めて「ビーフカレー」なるものが誕生する。ビーフが主役ではない。ビーフカレーの主役は、あくまでも「ビーフカレー」なのである。

いやいや、肉が主役でなくて何がビーフカレーだと、そういった肉好きを自負されている方もご安心いただきたい。
少々値は張るが、印度屋さんでは厚目にスライスされたビーフが載った「厚切りステーキカレー」なるメニューも堂々用意されている。
そこへ、トッピングで更にビーフを追加しようものなら、肉肉カレー肉カレー、まさに天竺ここに在りだ。肉好きも、ここで果てれば文句も出まい、そう思えるほどの迫力に満ちた一皿と相成る。

そして、肉といえば、これなくして肉好きを語るべからず、とも称される技が、とんかつトッピング無料券を使った肉系ダブルトッピング、その名を秘技「阿耨多羅豚勝三菩提」(アノクタラ トンカツ サンボダイ)。印度屋の常連であれば、誰しもが心得ているトッピング技だ。

「阿耨多羅豚勝三菩提」これは、古くからインドに伝わる言葉で「この上なくおいしい豚カツを得た」という意味のサンスクリット語「アヌッタラ トンカトゥ サンボーディ」を、漢字で表現したものである。
その意味が持つ通り、カツカレーを軸に、さらにカツ、ビーフ&カツといった肉系トッピングの組み合わせをすれば、どの様な選択をしたとしても決して後悔する事はない。真実不嘘、これこそが真実であり、嘘偽りない最強のトッピングなのだ。

スパイシーさが足りないと思われる方へのアドバイスとも言えるのだが、ルーの風味を存分に楽しみたいとあれば、ライスではなく、ナンを選択するのがベスト。
白飯では到底表現し得ない芳香に、米好きの私としては、嫉妬すら覚えてしまう程だ。
ルーとナンの風味が口の中に広がると、もう言葉など出ないだろう。出るのは安堵の溜息のみ。

美味いカレーを食べた時には、無理に言葉を発する必要はない。頭の中で、ただひたすらこれを唱えればよいのだ。

伽哩伽哩辛伽哩
(カリィ カリィ カラ カリィ)

辛僧伽哩菩提薩婆訶
(カラ ソウ カリィ ボジ ソワカ)

今夜は少々熱く語りすぎてしまったようだ。印度屋について語るのはここまでにしておこう。しかしながら、今日もまた幾多の客が印度屋へと足を運び、大いなる衝撃をもって、新たな伝説をネット上に記す事だろう…

究境伽哩

極上のカレータイム、是非とも多くの方々に体験していただきたい。